人生観

【ビール職人への道4】ビール職人の下積み

晴れて大山Gビールで働く事ができるようになった為、単身鳥取へ移住しました。

初めての山陰、知り合いも誰もいない、地理も何も分からない。

そんな状態で引っ越した僕ですが、不安と同時にこれからビール造りができる!というワクワク感でいっぱいでした。

IPAもペールエールも作りたいし、世界一のヴァイツェンの作り方も見てみたーい!

しかし現実はそんなに甘くなく

そこから長い下積み時代が始まりました。

ひたすら瓶を詰める

最初にさせてもらった仕事は瓶詰めでした。

大手のビール工場ならば全自動で瓶詰めしてくれますが、クラフトビールの工場はそんな大きな機械を導入できません。

大半の会社が手作業、または半手動で瓶詰めしていました。

初めて瓶詰めの仕事をする日

瓶詰めルームに入るとふわ〜っとブドウの良い香りがしました。

最初はもうそれだけで嬉しかったですね。

そこから2人1組で瓶詰めが始まります。

1人が瓶にビールを詰め、打栓する。

■1人が瓶を洗って冷蔵庫に運ぶ。

これを永遠と繰り返していきます。

当時瓶の出荷量も多く、1日6時間、週4日ペースで瓶詰めしていました。

しかも瓶詰めするには以下の工程が必要になります。

瓶を洗う

ラベルを貼る

ビールを詰める

■水洗い

ほぼ全て手作業で行っていました。

瓶の出荷量も多く、1日1500本近く詰めていました。

『瓶を洗う』という作業だけでも1500本洗うと1日作業です。

しかも瓶は割れる危険性があります。

割れないよう細心の注意を払いながらの作業、そして割れた際はかけらが見つかるまで探さないといけません。

1日が終わる頃にはクタクタになっていました

とても大変な作業でしたが全てが新鮮でした。

ビール1本作るのにこんな大変な作業があるのか、と思い知る日々でした。

仕事が終わったらビールの勉強

仕事が終わると体はクタクタ。

でも早くビール造りを覚えたい。

その為には座学の勉強も必要でした。

ビール造りというのは化学の要素が大きいんです。

麦芽の糖化の工程

酵母がどのように発酵するのか

香り成分はどのように表れるか

などなど化学の原理を知らないと工程を理解できません。

幸いにも大学で生物を専攻していたのがここで活かされました。

仕事が終わると残ってビールの本を読み漁りました。

しかも目の前には最強のビールの先生がいるわけです。

分からない所があると岩田さんに質問攻めしていました。

今考えるといつも遅くまで残って仕事をされていた岩田さん、仕事が山積みなわけです。

そんな中でも質問すると丁寧に教えてくれて、分からない所があると一緒に考えてくれました。

本当に感謝しかありません( ; ; )

いつも深夜まで残ってビールの勉強をする日々は本当に楽しかったです。

ビールの仕込みが見たい!

ビールの勉強をしていると理論上は作り方がなんとなくわかってきます。

でも実際に何をやっているかイメージが湧かないんですよね。

当時入ったばかりでしたからビールの仕込みに関われる事は何もさせてもらえません。

いち早く仕込みの様子を見たかった僕は休みの日に見学をさせてもらいました。

当然ですが工場見学だけでは分からない本物の仕込みの様子が見れます。

驚きの連続。最高に楽しかったです。

製法に対するこだわりも相当なものでした。

いつもの方法では満足しない。

より美味しいビールを造るにはどうしたら良いか。

日々考えながら造られていました。

かっこいいー

先輩の背中に憧れ、いつか自分も造りたい!

そう思いながら日々を過ごしていました。

瓶詰め以外の仕事

瓶詰めにもなれてきた頃、他の作業もさせてもらえるようになりました。

ビールを造る以外にも様々な作業があります。

■樽の洗浄

■原料を粉砕するモルトミル

■出荷作業

■イベント出店

■在庫管理

やる事は無限にありました。

忙しい日々でしたが毎日とても充実していました。

そんな中僕が一番楽しみにしていた仕事

イベント出店です。

夏場を中心に、日本中で様々なビールイベントがあります。

ビールイベントの度にトラックに乗って色々な地域に出店しにいきます。

普段工場にはりついている上、山陰というのはなかなか他の地域にいけません。

イベント出店は他の県にいけるまたとない機会なのです。

そしてイベントでは他メーカーとも交流できます。

熟練ブルワーから自分のような新米ブルワーまで色々な人と話ができます。

ビール業界はみんなとても仲がいいんです。

レシピや最新の情報など、他社にも惜しみなく教えあいます。

より美味しいビールを作りたい、と思っているからこそ情報交換も盛んです。

僕みたいな新米にも皆優しく教えてくれました。

イベント出店は他との繋がりを造る良い機会でした。

下積み時代は長かった

結局僕が本格的に仕込みを教えてもらったのは入社してから2年程たった後でした。

早く覚えたい!と焦る気持ちもありましたが今考えるとこの時間は大切な時間だったと思います。

なぜなら仕込み工程でミスは許されません。

原料の配合を数%間違えるだけで違うスタイルになってしまう

異物が入れば廃棄

■殺菌作業が不十分だと雑菌汚染される

作業の正確さ、1つ1つの確認、報連相など

ビールを造る前に大切な事をこの期間に教えてもらいました。

長い下積み時代でしたが全て今の自分に生きていると感じています。

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